ホタルイカを知る

春の味覚・ホタルイカの魅力

春の訪れとともに、富山湾をはじめとする日本海沿岸で漁が始まるホタルイカ。小さな体ながら豊かな旨味を持ち、その幻想的な発光も魅力のひとつです。本記事では、ホタルイカの産地や漁法、旬の時期、美味しい食べ方についてご紹介します。

ホタルイカとは？

ホタルイカ（学名：Watasenia scintillans）は、ツツイカ目ホタルイカモドキ科に属する小型のイカです。体長は5〜7cmほどで、名前の通り発光することが特徴です。ホタルイカの発光は、体表にある発光器によるもので、外敵から身を守るためや仲間とのコミュニケーションに使われると考えられています。

主要な産地と漁法

ホタルイカは日本海沿岸で広く漁獲されますが、特に富山湾が有名な産地として知られています。富山湾では、3月から5月にかけて産卵のために沿岸へ押し寄せるホタルイカを「定置網漁」で漁獲します。定置網漁とは、ホタルイカの回遊ルートに網を仕掛け、自然に網に入るのを待つ漁法で、鮮度の良いホタルイカを漁獲することができます。
湾内で漁獲される者は特に大きく、鮮度が良い物が選別されます。
また、2月中から兵庫県や鳥取県でもホタルイカ漁が行われており、これらの地域では底引き網漁が一般的です。底引き網漁では、大型の網を海底に沈めて一度に大量のホタルイカを漁獲できますが、定置網に比べるとイカへの負担が大きく、鮮度がやや落ちやすいとされています。

ホタルイカの旬と漁期

盛期です。この時期のホタルイカは産卵を控えて栄養をたっぷり蓄えており、旨味が濃厚になります。特に、富山湾では3月頃から4月までが最も美味しい時期とされ、夜の海に無数のホタルイカが発光しながら浮かぶ「ホタルイカの身投げ」と呼ばれる現象が見られることもあります。

ホタルイカの代表的な調理法

1. ホタルイカの塩茹で
もっともポピュラーな食べ方が、軽く塩茹でにしたホタルイカです。酢味噌やポン酢と合わせると、ホタルイカの甘みと旨味が際立ちます。

2. ホタルイカの沖漬け
鮮度の良いホタルイカを醤油やみりん、酒などを合わせたタレに漬け込んだもの。イカの旨味が凝縮され、お酒のおつまみにぴったりです。

3. ホタルイカの天ぷら
衣をつけて揚げることで、外はサクッと、中はふっくらとした食感が楽しめます。

4. ホタルイカの炊き込みご飯
ホタルイカの出汁が染み込んだご飯は絶品。生姜や醤油とともに炊くと、香り高く仕上がります。

5. ホタルイカのとも和え
ボイルしたホタルイカを当たり鉢でペースト状にし、そこに赤味噌、生姜、紫蘇の葉などを加えます。
肝の風味満載のホタルイカペーストを、ボイルしたホタルイカに纏わせることでさらに複雑な旨味を感じられます。

ホタルイカのまとめ

以前富山に家族旅行に行った際、「ホタルイカミュージアム」に寄りました。
海の中ではほぼ透明に見えるホタルイカを、（暗闇の中）網を使って一気に引き上げる事で青白く発光させるという、他では味わえない貴重な体験をしたことを覚えています。
館内を巡った後は、外にあった足湯に浸かり、堤防越しに日本海を眺めました。
お子様向けでは無いかもしれませんが、ホタルイカを初めとする豊かな富山湾の魚類の生態を知るのにはとても良い観光スポットだと思います。

春の味覚として親しまれるホタルイカは、さまざまな料理で楽しむことができます。旬の時期ならではの新鮮なホタルイカを、ぜひいろいろな方法で味わってみてください。